イーストフレイバーとバイオトランスフォーメーションBREWER'S GUIDE TO YEAST FLAVOR & BIOTRANSFORMATION

※は翻訳者による追記

以下の抜粋は、当社の新しい電子書籍『Yeast Flavour & Biotransformation』からのものである!

簡単でインパクトのある発酵、イーストフレーバー、バイオトランスフォーメーションへの包括的なガイドである、 あなたの理想的なビールに磨きをかけるために、当て推量ではなく、科学であなたを助けたい。最新の研究、アロマ化合物、テルペン(terpene)&チオール(thiol)のバイオトランスフォーメーション、温度とピッチレイトの影響、ビールのアイデアなど、学んだことをすべてまとめて紹介する。

イーストフレーバー&バイオトランスフォーメーション研究

なぜEscarpment Labsはイーストフレーバー研究を行うのか?

ブルワーは新しい酵母株に期待できる風味を正確に知りたがっている。また、醸造所の運転条件(温度やピッチレイトなど)が変わった場合に何が期待できるかも知りたがっている。我々は、このような質問に適切に答えることができるリソースの開発に長年注力してきた。

どんな道具を使うのか?

ブルワーが自家製酵母を最適化し、新しい酵母株を選択できるよう、多様なツールを駆使している。研究提携を通じて、各酵母株の風味の可能性を明確に把握できる高度な分析ツールにアクセスしている。

酵母のフレーバー代謝物分析には、ガスクロマトグラフィー質量分析法(Gas Chromatography Mass Spectroscopy / GC-MSと様々なサブメソッド)、高速液体クロマトグラフィー(High-Performance Liquid Chromatography / HPLC)、そして最も優れた分析ツールの1つである人間の鼻(感覚的な分析)を含む様々な分析法を使用してきた。ブルワーが酵母株を選びその風味を最適化するために、私たちは分析データと感覚的なデータを活用している。

なぜ酵母は風味を作るのか?

ここにはまだ多くの未解決の疑問がある!酵母が異なるフレーバーを生み出す理由も知りたいので、私たちは分析データとゲノムデータを組み合わせて、私たちが好む酵母のフレーバープロファイルの根底にある遺伝学を理解することに全力を注いでいる。私たちは公開している酵母株すべての全ゲノム配列を読み取った。

私たちは現在、酵母の遺伝学的な性質とその風味を結びつけることで、酵母の働きを理解している。これは次世代のビール酵母の開発に役立ち、すでにSaison Maison, Hydra, KRISPY, Thiol Libreといった新製品の開発に影響を与えている。

主要なイーストフレーバーと発酵フレーバー

アルコール / ALCOHOLS

酵母は風味に寄与する多様なアルコールを作ることができる。低レベルでは、これらのアルコールは風味の複雑さに寄与する。例えば、1-オクタノール(1-octanol)は柑橘系のように感じられる。しかし、高レベルでは、イソブタノール(isobutanol)やイソアミルアルコール(isoamyl alcohol)などのフーゼルアルコールは”酒っぽい”と感じられる。酵母株によってグリセロールの生成量も異なり、これはビールのボディと口当たりに寄与する。

エステル / ESTERS

エステルはフルーティーでフローラルなフレーバーとして認識される。酵母が生成できるエステルには幅広い種類があり、ブルワーにとってこの一群は最も興味深いもののひとつである!大まかに言えば、エステルはヘキサン酸エチル(ethyl hexanoate / パイナップルのよう)やオクタン酸エチル(ethyl octanoate / リンゴやコニャックのよう)などの脂肪酸エステル(fatty acid esters)と、酢酸イソアミル(isoamyl acetate / バナナのよう)や酢酸フェニルエチル(phenylethyl acetate / バラのよう)などの酢酸エステル(acetate esters)に分けられる。

フェノール / PHENOLS

穀物にはフェノール酸(phenolic acids)が含まれているが、これは植物が畑で菌類に対するストレス耐性として生成するものである。これらの無香料のフェノール酸は、酵母によって4-ビニルグアイアコール(4-vinylguaiacol)などの揮発性フェノールに変換され、ベルギービール独特の胡椒のようなクローブ香を与えている。多くのビールにおいてこの香りはオフフレーバーとみなされ”POF”(フェノールオフフレーバー)と一般的に呼ばれている。

酸 / ACIDS

酵母は様々な種類の酸を作ることができ、一部の酵母は他の酵母よりも麦汁のpHを下げる。典型的な酵母の場合、この酸生成は最小限で、コハク酸や酢酸が含まれる。特殊な酸生成酵母(Lactic Magicなど)やサワーリングバクテリア(souring bacteria)は、乳酸や酢酸を中心にクエン酸など、より幅広い種類の酸を生成することができる。これらはサワービールの酸味と爽快な味わいに貢献している。

テルペン / TERPENES

酵母はホップからテルペン化合物(モノテルペンアルコール / monoterpene alcohols)を解き放ち、変化させることができる。これにより、ビールはより柑橘系、フルーティー、ダンクな味になる。テルペンのバイオトランスフォーメーションについてもっと知りたい方は、続きをお読みいただきたい。

チオール / THIOLS

ある種の酵母は、風味のないホップや麦芽の前駆物質からチオールアロマを解き放つことができる。これはビールをよりトロピカルな味にすることができる。チオールのバイオトランスフォーメーションについてもっと知るには続きを読む。

もっと知りたいか?

電子書籍をダウンロードして、バイオトランスフォーメーションについての探求を続けよう。その他のトピック :

  1. アロマ化合物を分解する
  2. テルペンおよびチオールのバイオトランスフォーメーション
  3. 乳酸菌の風味への影響
  4. 温度とピッチレイトの影響
  5. ビールレシピのアイデア

Brewer's Guide to Yeast Flavour & Biotransformation
The following excerpts are from our new e-book, Yeast Flavour & Biotransformation, which is now available for download! ...

All articles are translated here from Escarpment Labs are reproduced with permission.

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