【ホームブルーイング体験記】#12 アップル・イースト・エールHomebrewing Experience #12 Apple Yeast Ale

今回はりんごから採取した酵母でビールを作っていく。前回のレーズン・イースト・エールに続き、天然酵母シリーズ第二弾だ。りんごから酵母を得る方法についてはこちらを見てほしい。レーズン酵母もりんご酵母もパン作りで多く使われている。ビールもパンも酵母の発酵によってできているため、似た部分があるのだろう。確かパンでマッシングしたビールをどこかで作っていた(ヨロッコビールだったかな)。とにかくパンとビールは親和性が高い。

まずはりんご酵母スターターの様子を振り返ってみる。

初日
5日目
8日目

温度調整が良かったのか、もしくはりんごはレーズンよりも培養がうまくいくのか、カビは生えず、空気を抜くためにフタを開けるたびりんごのいい香りがした。
リンゴジュースを使ったおかげで仕込む手順も楽だったので、これからはりんごを中心に使っていきたい。しかしまだ醸造用酵母のストックがいくらかあるため、次のりんごは数ヶ月後だろう。また時期(りんごの旬からどれだけ離れているか)によって酵母の質が変わるかもしれない。考えることはたくさんある。

12日目。仕込み当日。
レシピ

Style / Apple Yeast Ale
ABV / %
IBU / 7.8

NamePPGRatio
Pilsner3650
Wheat Malt3950
Malt
NameAAg/L
Saaz3.50.9Mash
Tettnang4.10.4@30
Hallertau7.80.4@15
Hop Addition
NameTypeAttenuationOptimum TempPitch Tempg/10L
Apple YeastLiquid7020-3025???
Yeast

Berliner Weisseというスタイルを参考にしている。低アルコール低IBUの小麦を使ったサワービールだ。前にサワービールに関する記事を書いたときに、このスタイルを知ってずっと気になっていた。今回造るのはサワービールではないが、ワイルド系とサワー系は共通する部分があるので、やってみた。
以下は参考にしたサイト↓

Berliner Weisse Recipes and Fast Sour Beer Brewing – BeerSmith™ Home Brewing Blog
Designing and Brewing a Berliner Weisse
Visit the post for more.
ホームブルーイングのお供
フローラルでスパイシーな王道セゾンって感じの味だった
マッシング

55℃15m, 68℃45m, 75℃5m, スパージング75℃。
Water / Grain 3, 水質調整なし。

今回の仕込みの狙いとして、低アルコール、低IBUに加え、マッシュアウトとスパージングの温度を78℃→75℃にすることで渋みを減らすというのがあった。理由としてはこれまで造ったビールに大なり小なり渋みがあったからだ。

糖化効率は65.6%と低い。これまでの記録を振り返ってみたが、Wheat Maltを10%以上使うと明らかに糖化効率が落ちる。考えられる理由としては、クラッシュが十分ではない(私はすでにクラッシュされたものを買っている)、PPGが間違っている、もしくはその両方だろう。55℃のステップを踏んでいるため、マッシュアウトを75℃に下げたのが原因とは考えづらい。

マッシュホッピング用のSaaz

渋みの原因のひとつとしてマッシュホッピングも考えられる。ロータリングしているとはいえ、全てのホップ成分が残るわけではない。いくらかは通過しボイリングされているだろう。つまり予期せぬFWH(First Wort Hop)ということだ。

どっかの記事でマッシュホッピングにより麦汁の鉄が減り酸化が少し防げると、Scott Janishが言っていたよー、と書いてあった。
見つけたので一応リンクを貼っておく↓

マッシュホップ投入
Three Ways Mash Hopping Can Improve Your Beer
Determining where you put your hops can play a huge factor in the personality of your beer. Here's how front loading you...
ボイリング

いつも通り60m煮沸。
スケジュールに沿ってホップを出汁パックなしで投入し、@15でアイリッシュモス(清涼剤)とチラーを突っ込む。

糖化効率が低かったため、火力を上げることを考えたが、低アルコールが狙いなためやめた。結果論で言えば、時間をきめて(30mとか)強火にすればよかった。麦汁の量が多すぎて、発酵容器に移すときに捨てる羽目となった。

奥に見えるのはチラー
ワールプール&チル

ワールプールホッピングをしないため、ボイル後はすぐにイーストピッチ温度まで下げる。
約30mで25℃まで下がった。

奥に見えるのは殺菌中の発酵容器
イーストピッチ

りんご酵母スターターは電気あんかで軽く加温していた。目標は20-30℃の間だったが、うまくいったようだ。固体はカビの原因となるため、レーズンと違い、りんごそのものは発酵容器に投入しない。

少し失敗したと思ったのが、スターターの糖度を図らなかったことだ。次はもっと厳密な記録を取りながら酵母を培養しようと思う。

イーストを投入したときの麦汁の温度は24℃だった。これもうまくいった。

温度調整はうまくいった
発酵プラン

それなりに暖かくなってきたので温度調整はしない。発酵初期に温度が上がりすぎるとフーゼルアルコール(いわゆるアルコール感)が目立つので、今回は多少発酵開始が遅れても加温はしないつもりだ。

そしてエステル香を多く得るためにエアロックをしていない。くわしくはこちら

今回の発酵における狙いは3つある。
1つ目はりんご酵母の発酵度を調べること。レーズンの経験から70%でレシピを組んでいるが、やってみないことにはわからない。
2つ目は上でも言ったが加温しないこと。
3つ目は瓶内主発酵で炭酸をいれることだ。ペットナット式と呼ぶかもしれない。主発酵が終わりきらないうちに(予定では発酵度65%)ボトリングすることで、糖を加えることなく泡をビールに追加する。わかりやすい日本語の記事があったので貼っておく↓

ナチュラルワインで注目の『ペット・ナット』とは?|ワインやお酒にまつわるお役立ち情報|モトックス
ペット・ナットは『ナチュラルワイン』と呼ばれるジャンルの一つです。ナチュラルワインが注目されるにつれ、世界中に広がりを見せています。王冠栓の微発泡のスタイルで、開けやすさと飲み口の爽やかさから人気が高まっています。
まとめ

実はこれを書いているのは仕込んでから3日後だ。発酵はまだ始まっていない。今日は気温が低く、発酵容器の温度が20℃を切った。でも加温しない。したいけど、しない。気持ちとしては、勝手に発酵が始まるまで何週間でも待つつもりだ(できれば3週間以内がいいな)。レーズン酵母のエステル香が素晴らしかったので、りんごにも期待してる。楽しみだ。

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