【レシピ構築】狙ったアルコール度数のビールを造るには part2【Recipe Building】To make beer with the targeted ABV. part2

↑前回の記事が最近読まれているらしいのでpart2を出すことにする。このレシピツールを作ったのは1年ほど昔で、今は蔵で働いているためホームブルーイングもできてない(衛生と多忙のダブルパンチ)。本当はどう計算したかなんて全く覚えてないが、まあpart1を出してしまったので最後までやってみる。雑になると思うがご了承いただきたい。気が向いたらあとで丁寧に直しときます。

前回の復習(自分のために)
自作レシピツールの一部。在庫管理ツールも自作した。

参考にしたサイト↓

全体像

  1. 発酵度とアルコール度数を理解する(A)
  2. モルトが持っている糖保有量(PPG)について理解する(B)
  3. 求めるアルコール度数から必要なモルトの量までを逆算する(私)

ステップ3の逆算する手順

  1. ビールのアルコール度数を決める
  2. 使用する酵母の発酵度から初期比重(最終比重も)が決まる。
  3. 使用するモルトのPPGとマッシング効率から必要なモルトの量が決まる。

part1の結論

初期比重=(アルコール度数 × 100 / 131.25 × 発酵度)+1

とうことで、「狙ったアルコール度数のビールを造るには」発酵度(酵母選択)が必要ということだった。酵母によって大まかなスタイルが決まるので、レシピ全体の流れとしては

作りたいビールのイメージ→イメージに近いビアスタイルを見つける→スタイルに合った酵母、アルコール度数を決める→具体的なレシピを作っていく

ということになる。スタイルにあったアルコール度数とは、IPAは度数高め、ラガーは低め、などいうものだ。不安があればBJCP Style Guidelinesを参考にすればいいだろう。

ステップ3の逆算する手順
1.ビールのアルコール度数を決める
2.使用する酵母の発酵度から初期比重(最終比重も)が決まる
3.使用するモルトのPPGとマッシング効率から必要なモルトの量が決まる。
のうち1と2は終わってるので(いいよね?)3をやってしまえば終わりだ(そうだよね?)意外と少ない。

確認すると
アルコール度数と発酵度→初期比重→モルトの種類と量
という流れで数値が決まっていきます。

ステップ2:モルトが持っている糖保有量(PPG)について

これを読めばわかる、と言いたいところだが、一応まとめてみる。メインは単位変換なので、一度エクセルなどで設定してしまえば、ぶっちゃけ理解してなくてもいけます。

引用(以下、””の部分はこちらからの引用とする)
“初期比重の計算はモルトが持つ糖保有量を知っていれば簡単だ。34~38くらいの数字でPPG単位で表記される。PPGはPoints/Pound/Gallonの略で、1ガロンの水で1ポンドのモルトを仕込んだときに達成する比重のことで、36なら1.036ということ。使用するモルトのPPG値はMalt ChartでググればいろいろなWebでまとめているのでそちら参照。”

1ガロン(gallon) = 3.785リットル(L)
1ポンド(Lb) = 0.454キログラム(kg)

モルトをいっぱい使えば比重が上がるし(濃くなる)、水をいっぱいいれれば比重が下がる(薄くなる)、とイメージすれば分かりやすいと思う。
比重の小数点以下第2位と第3位(1.050なら50の部分)を数値として扱うのは前回同様。

ここでMash efficiency(%)が出てくる。日本語でマッシング効率。これはあなたの設備によるので、実際に作ってみないと分からないし、ホームブルワーがレシピ通りのアルコール度数で作れない一番の原因でもある(だよね?)。私はこれに一番苦戦した(解決はしてない)。参考数値として私のデータを書いておくと、all grainのfalse bottom(BIABではないという意味)でスパージングあり、という手順で60-80%をうろうろしていた。うろうろしていた、ということはアルコール度数もうろうろしていた、ということだ。つまり全然レシピ通りいってない。

つまりPPGは潜在能力みたいなもので、100%の数値が出ることはなく、うまくいっても90-80%くらいではないだろうか(BIAB、スパージングなし、などの手順だと下がりやすい)。
長くなった。式は以下。

“Target OG = (  potential SG * malt size (Lb)  * Mash efficiency(%)/100  )  /   batch size (Gallon)   “

今知りたいのはモルトの量なので

malt size (Lb) = Target OG * batch size (Gallon) / potential SG * malt size (Lb)  * Mash efficiency(%)

単位変換に注意
1 (gallon) = 3.785 (L)
1 (Lb) = 0.454 (kg)
100% = 1

“モルトを複数使うときは、モルト毎で算出されるOGを足せばいい。”

“ここまで理解できれば、ターゲット初期比重から、レシピのモルト量を見積もるのは逆をやればいいだけ。以下のようにターゲットOG、バッチサイズ、使用するモルトの構成比だけ決めておけば、

ターゲットOG 1.060
バッチサイズ 3ガロン
モルトA 36 90%
モルトB 32 5%
モルトC 34 5%

下記でモルトの総重量が求まり、
総重量(ポンド) = 60/ ( 36 * 0.9 + 32 *0.05 + 34 * 0.05 ) * 3

総重量をモルトA~Bの構成比に従って分けてあげればいい。エクセルで一発だ。”

こういうのは実際に手を動かなさいと理解できないと思うので、練習問題として、私の過去のレシピからいくつか問題を出しておく。単位に注意して解いてみてください。答えはpart1の下に載せておきます。

Q1 以下の条件で、モルトの量は何gでしょう。

Target OG : 1.048
size : 12L
Pilsner 36 100%
Mash Efficiency 80%

Q2 以下の条件で、モルトの量の合計は何gで、それぞれ何gでしょう。

Target OG : 1.039
size : 13L
Pilsner 36 50%
Wheat Malt 50%
Mash Efficiency 80%

本当はこれで終わりじゃない

お気づきだろうか、ステップは3まであることを、、、

最後の問題を作っているときに気づいたのだが、蒸発率Evaporation Rate(%)について書く必要があった。実際にビールを作るときの麦汁の流れは

マッシング→ボイリング→発酵

といことになるが、この記事におけるOGとはマッシング時点(ボイリング直前)での比重のことを意味している。というか、本来のOGは発酵容器にいれたときの比重のことをいうので、簡略化するために嘘をついていたということだ。では実際はどうなのか。

というのを次のpart3でまとめあげようと思う。結局、終わらなかったなー。



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