バイオトランスフォーメーション:正真正銘のエキサイティングなビールトレンドBiotransformation : a legitimately exciting beer trend

※は翻訳者による追記

トロピカル・フレーバー。フルーツ爆弾ビール。解き放たれたチオール。バイオトランスフォーメーションが話題になるたびにこれらの言葉が飛び交う。実際のところ、ビール中の酵母株によるホップ化合物のバイオトランスフォーメーションは、大きな興奮と熱意をもって受け入れられる魅力的で多面的なプロセスである。ホップを最適化し、これまで以上に多様で魅力的なビールを生み出す可能性があるのだから、ブルワーが興味をそそられるのは当然だ。

発酵中、バイオトランスフォーメーショ ンはイースト由来の酵素が無臭・無フレーバーのホップ前駆体を好ましいフレーバーやアロマに変換する際に起こり(Fig.1)特にジューシーでフルーティーなIPAのような人気のあるスタイルに適している。

このテーマに関する研究は、ワイン産業から多くの知識を拝借しながら、常に新しく生まれつつある。この複雑なプロセスには3つの主要な反応が含まれる。

  1. Terpene alcohol release / テルペンアルコールの放出
  2. conversion / 転化
  3. Thiol release / チオールの放出

テルペン放出

最終的なビールへのバイオトランスフォーメーションの主な寄与は、モノテルペンアルコール(monoterpene alcohols)やチオール(thiols)のようなフレーバー活性分子の非芳香族前駆体からの放出で、イースト符号化された2つの酵素、βグルコシダーゼ(β-glucosidase)とβリアーゼ(β-lyase)によって行われる。ゲラニオール(geraniol)やリナロール(linalool)のような、ホップ由来の異なるテルペンアルコール間の変換も最終製品のフレーバープロファイルに適度に寄与する。完全には解明されていないが、このプロセスも酵素が介在していると考えられている。

酵素β-グルコシダーゼ(β-glucosidase)は非芳香族グリコシド前駆体から芳香族テルペンアルコールを遊離させる——ゲラニルグリコシド(geranyl glycoside)からゲラニオール(geraniol)を遊離させるように。この酵素はほとんどの酵母株では生産されず、Brettanomyces属やPichia属の酵母に多く存在するため、この酵素の影響はほとんどのビールで減少する。さらに、テルペンアルコールの風味の閾値はそれなりに高い(ppmからppb)ので、その影響が感じられるようになるには、相当量の分子がビール中に放出されなければならない。

※ppm / parts per million : 100万分の1
ppb / parts per billion : 10億分の1

チオール放出

そのため世界中のブルワーやワインメーカーは、システインS共役βリアーゼ(cysteine S-conjugate beta-lyase)としても知られるβリアーゼ(β-lyase)という酵素が行う反応に主眼を置いている。発酵中、この酵素は麦芽や特定のホップ品種に含まれる前駆体から、パッションフルーツやグレープフルーツの香りをもたらす揮発性チオールを放出する。テルペンアルコールとは異なり、これらの揮発性遊離チオールは1兆分の1(ppt)という極めて低いレベルで検出される。そのためわずかな増加でも消費者に検出される可能性が高い。これらの化合物の一部、すなわち3-メルカプトヘキサン-1-オール(3-mercaptohexan-1-ol / 3MH)、3-メルカプトヘキシルアセテート(3-mercaptohexyl acetate / 3MHA)、4-メチル-4-メルカプトペンタン-2-オン(4-methyl-4-mercaptopentan-2-one / 4MMP)は、ビールのアロマにトロピカルな特質をもたらすことが知られている。

すべての酵母が同じように作られるわけではなく、IRC7遺伝子の機能的バージョンを持つ酵母株だけがこの反応を行うことができる。White Labsではこの酵素活性の有無について酵母コレクション全体を検査した。いくつかの高活性酵母株をブレンドしたWLP077 Tropicale Yeast Blendを開発し、ジューシーで霞んだIPAのためのトロピカル・アロマの完璧なバランスを作り出した!

適切なホップを選ぶ

ホップもまた結合したチオール前駆体の主な供給源であるが、品種によって含まれる化合物の種類や量が異なり、ビールの最終的な風味の特徴に影響を与えるためには多少の考慮が必要である。Citraのような最もポピュラーなホップ品種は、ビールに多量の揮発性チオールを供給し、バイオトランスフォーメーションによる恩恵をあまり受けない。一方、Cascade、Saaz、Simcoeのような伝統的な品種は、結合した非芳香族型のチオールを多く含む。このようなホップ品種はβ-リアーゼ活性の高い酵母株との相互作用により、トロピカルなアロマ・プロフィールを得ることができる。

※Thiol Hops
Cascade, Saaz, Simcoe

ブルワーにとっての課題は、選択した酵母株に多くの前駆体を供給し、最終製品に改善されたアロマとフレーバーをもたらすことである。最もポピュラーなアプローチとしては、マッシュ中にホップを導入する方法と、ワールプール(ホッピング)と発酵中のホップ添加に重点を置く方法がある。最近の研究では、ワールプール(ホッピング)添加が麦汁中の前駆体濃度の増加に大きく寄与することが示されている。チオール前駆体は、他の供給源、すなわちファンタズムのようなブドウ由来製品や麦芽からも醸造工程に導入することができ、フレーバーとアロマにおける全体的な影響を増大させる。

これらの新しい原料やドライホッピング技術、ホップと酵母の相互作用に関する研究の影響はまだ評価中であり、常に新しい情報が得られている。伝統的なホップ品種と特定の酵素活性を持つ酵母を使用するアイデアは、新しいコスト削減方法とさらに新しいビアスタイルの機会を開く。 ご期待あれ!


Biotransformation: Legitimately Exciting Beer Trend | White Labs
Discover the magic of biotransformation in brewing! Explore how yeast transforms hop compounds, creating unique and flav...

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