【レシピ構築】狙ったアルコール度数のビールを造るには part3【Recipe Building】To make beer with the targeted ABV. part3

【レシピ構築】狙ったアルコール度数のビールを造るには part2

↑前回の記事が最近読まれているらしいのでpart2を出すことにする。このレシピツールを作ったのは1年ほど昔で、今は蔵で働いているためホームブルーイングもできてない（衛生と多忙のダブルパンチ）。本当はどう計算したかなんて全く覚えてないが、まあ...

cullage-box.com

2024.11.03

part2を出した勢いのままpart3。いつか書こうと思ってたモヤモヤを貴重な休みを使って粉砕していく。とは言っても、今日は蒸発率についてと全体の総まとめだ。

前回の復習

参考にしたサイト↓

• (A)発酵度とアルコール度数
• (B)レシピ構築（初期比重編）

全体像

1. 発酵度とアルコール度数を理解する(A)
2. モルトが持っている糖保有量(PPG)について理解する(B)
3. 求めるアルコール度数から必要なモルトの量までを逆算する(私)

ステップ3の逆算する手順

1. ビールのアルコール度数を決める
2. 使用する酵母の発酵度から初期比重（最終比重も）が決まる。
3. 使用するモルトのPPGとマッシング効率から必要なモルトの量が決まる。

part1の結論

初期比重=（アルコール度数 × 100 / 131.25 × 発酵度）＋1

part2の結論

malt size (Lb) ＝ Target OG * batch size (Gallon) / potential SG * malt size (Lb)  * Mash efficiency(%)

part2の疑問

本当のOGってなに？

ステップ3：アルコール度数から必要なモルトの量まで逆算する

麦汁と水の流れをおさらいいしよう

マッシング（モルト＋水） → 麦汁 → ボイリング（水分蒸発） → 発酵（糖→アルコール）

ステップ1と2でやったのは、実はボイリングの工程をすっ飛ばした計算だった。じゃあ今までの理解が無駄だったかというとそうではない。ボイリングで何が起こるかといえば、水分が蒸発するだけだ。PPGのことを思い出してほしい。

モルトをいっぱい使えば比重が上がるし（濃くなる）、水をいっぱいいれれば比重が下がる（薄くなる）

つまり、今までの計算でレシピを作ると、途中のボイリングで水分が飛んでしまうので比重が上がってしまう（濃くなる）→アルコール度数が高くなる、ということだ。比重と水の関係は簡単な式で表すことができる。←これを知るのに苦労した覚えが、、、見つけたのは海外の掲示板だった。

比重の小数点以下第2位と第3位 × 麦汁の量 = 一定

具体例を上げると、比重が1.050の麦汁10Lが、ボイリングで5Lになっちゃいました。
このときの比重は？

50 * 10 = ? * 5
? = 100

答え：比重1.100

注意点：ここで繰り返してる比重はSG(specific gravity)のことでOGやFGと同じだけど、BRIX(ブリックス)とは違うよ！

さて、ここまで来たらあとは逆算するだけ。ようはボイリングで濃くなるから、その分マッシングのときは薄くしとこうねー、ということだ。ちなみにEvaporation Rate(%)は、例えば20%だったら100L→80Lというだけ。DMSを揮発させるには10%ほどあれば安心だろう（詳しくは調べてみてね）。

狙ったアルコール度数のビールを造るには

最初に決めることは3つ。
・目標のアルコール度数
・使用する酵母（発酵度）
・バッチサイズ（発酵容器に入れる麦汁の量）

次に決めること
・モルトの種類と割合
・水と麦芽の割合（基本は3）

調べる必要のある数値
・マッシング効率（最初は60%とか）
・蒸発量（ボイリングで何L飛ぶか）
　→蒸発率（最初は10-20%とか）
・PPG（麦芽スペースPPGで検索）

以上のことから決まること
・モルトの量
・マッシングで使う水の量

具体例
part2のQ1で使ったレシピを持ってこよう。
パソコンで見たときわかりやすようにしたのでぜひ！

Q1のレシピも載せておく
・グレーの部分はレシピを作るたびに入力
・ピンクの部分は入力された数値から自動で計算

まとめ

これでひとまず”【レシピ構築】狙ったアルコール度数のビールを造るには”シリーズを終わろうと思う。計算式の部分は読んでも分からないと思うので実際に手を動かしてほしい。よきホームブルーイングライフをお楽しみください。